界面化学とは? ぬれおよび接着をわかりやすく解説

物理化学

こんにちは⭐ ミドリケムです。

今回はぬれおよび接着について解説していきます。今回の記事は以下をキーワードに解説していきます。

・ぬれ
・接触角
・ヤングの式
・接着の原理

ぬれとは?

まずはぬれについて解説していきます。主に服が水にぬれる、ぬれないと日常生活においてもよく使う用語です。界面化学の観点から解説すると、固体表面に液体が付着し広がる現象、言い換えると、固体ー気体表面が減少し、新たに固体ー液体界面が形成される現象です。

ぬれ性は接触角を用いて表します。接触角とは固体表面と液体の接線とをなす角であり、接触角が大きい程ぬれにくく、逆に小さい程ぬれやすいです。

図1.ぬれ性と接触角

ヤングの式とは?

そのぬれ性を決めるのは界面(表面)張力が重要になってきます。界面(表面)張力に関しては以下の記事に詳しく解説しています。

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以下の図にも示していますが、固相上に液相を付着させます。すると、様々な界面張力が働きます。固体(S:solid)、液体(L:liquid)、気体(G:gas)のため、液相ー気相間の界面(表面)張力をγLG、固相ー気相間の界面(表面)張力をγSG、固相ー液相間の界面張力をγSLとします。

ちなみに、上記の記事でもいいましたが、界面張力とは本来、液体のみに適応することであり、固体、気体には適応しません(固体は分子運動が弱すぎて界面張力があっても運動せず、気体は分子運動が強すぎてそもそも界面が存在しないため)。
固体の場合は界面自由エネルギーで議論するのが一般的ですが、基本的には界面張力≒界面自由エネルギー(液体は界面張力=界面自由エネルギー)です。そして、界面張力はベクトル、界面自由エネルギーはスカラーです。今回はベクトルで議論したいため、あえて界面張力と表記しますが、ご了承願います。

図2.ヤングの式

図からもわかるように、ぬれ性を良くしたい場合、γSG、逆に悪くしたい場合はγSL方向の力を強くしたいです。しかし、実際はγLGも働いているため、これも忘れてはいけません。よって、ヤングの式は以下の通りです。

γSG=γSL+γLGcosθ\gamma_{SG}=\gamma_{SL}+\gamma_{LG}\cos\theta

・ぬれ性が良い(接触角が限りなく0°に近い、cosθcos0°=1)
 …γSGγSL+γLG、つまり、γSGの力が強い

・ぬれ性が悪い(接触角が限りなく180°に近い、cosθcos180°=-1)
 …γSGγSLγLG(γSLγSG+γLG)、つまり、γSLの力が強い

ヤングの式も式だけ見れば難しそうですが、図にして表すとわかりやすくなります。

どうなるとぬれやすい?

それでもヤングの式だけではぬれ性をイメージすることが難しいという場合は液相、固相の界面張力、界面自由エネルギーに着目しましょう。

界面張力、界面自由エネルギーは気相、液相、固相、および温度、圧力によって変わってきます。気相は基本的には空気です。よって、温度、圧力といった物理的要因を除けば、ぬれ性は液相、および固相によって決まります。

例えば液相を水、固相をガラスとパラフィンとで比較します。ガラスとパラフィンとでは前者のほうが界面自由エネルギーは高いです。つまり、ガラスはぬれやすく、パラフィンはぬれにくいのです。
界面自由エネルギーは分子を広げるのに必要なエネルギーでしたよね?イメージとしては、界面自由エネルギーが高い程、水を広げるエネルギーをたくさんもっているということです。もしくは、ガラスの方が界面自由エネルギーが高いため、界面を水に覆いかぶせてエネルギーを低下させようとしていると思って下さい。

次に、固相をガラス、液相をメタノールと水と水銀で比較します。界面自由エネルギーはメタノール>水>水銀です。界面自由エネルギー=界面張力は液体の表面分子に働く相互作用でしたね。これが働くため、メタノールはぬれやすく、水銀はぬれにくいのです。

結論として、界面張力=界面自由エネルギーが

固相、液相ぬれやすい
固相、液相ぬれにくい

というわけです。

上記の原理を利用してぬれやすくしたい場合、液相に界面活性剤を添加する方法があります。界面活性剤はミセルを形成して油汚れを落とすだけではなく、界面自由エネルギーを低下させる性能もあります。つまり、液相の界面自由エネルギーを低下させているのです。
このことにより、衣類や食器等はぬれやすくなり、表面の油汚れを落としやすくします。

もしくは、固相表面に界面自由エネルギーを増大させる物質をコーティングすることで、ぬれやすくすることもできます。例として、酸化チタン(光触媒)が挙げられます。

逆に、ぬれにくくしたい場合、固相表面に界面自由エネルギーを減少させる物質をコーティングする方法があります。主に、雨具、クリーニングの撥水加工が挙げられます。ちなみに、ハスの葉の表面も界面自由エネルギーが低いため、水滴がたまります。

接着とは?

接着は当たり前の様に皆さん使用していると思いますが、固体と固体同士を液体(接着剤)との相互作用を介してくっつけ合わせることです。

ここで、凝集との違いですが、接着は違う物質同士を液体(接着剤)を用いてくっつけ合うこと、凝集は同じ物質同士がくっつき合うことです。

図3.接着と凝集の模式図

そのためには、液体(接着剤)が固体(被接着物)同士をぬらす必要があります。よって、より強固に接着するには固体の表面自由エネルギー>液体の表面自由エネルギーが成り立つ必要があります。

接着には主に3つの作用が働きます。

・物理結合(ファンデルワールス力、水素結合等)
・化学結合(ウレタン樹脂、シランカップリング剤等)

物理結合、化学結合に関しては以下の記事で解説しています。

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図4.セルロースとイソシアネートの構造式

図5.イソシアネート基と水酸基との反応機構

接着剤は架橋して固形化し、また、被接着物とも強固な結合を持つため、接着します。

重合に関しては以下の記事にも解説しています。

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他にはシランカップリング剤が挙げられます。例として、アルコキシシランを有した有機化合物(図6ではRと置く)はアルコキシシランを起点としてガラスの表面に固定化します(ガラス表面は水酸基)。このように、本来は無機物と有機物はなじむことはありませんが、シランカップリング剤を利用すると固定化します。

図6.シランカップリング剤による接着

シランカップリング剤は液体(粘性が高い)であることが多く、実際は有機溶媒等に溶解させてガラスや酸化チタン等に固定化することがあります。

以上が接着の解説となります。これはほんの一例であり、他にも接着の例はあります。どちらにしても、ぬれ性は重要になってきます。

まとめ

・ぬれ…固体表面に液体が付着し広がる現象、接触角が大きいとぬれ性大、小さいとぬれ性小

・ヤングの式…(θは接触角)

γSG=γSL+γLGcosθ\gamma_{SG}=\gamma_{SL}+\gamma_{LG}\cos\theta

・界面張力=界面自由エネルギーが
  固相、液相ぬれやすい
  固相、液相ぬれにくい

・接着…固体と固体同士を液体(接着剤)との相互作用を介してくっつけ合わせること
    ぬれ性が良好だと接着力大

いかがだったでしょうか? ぬれや接着も日常生活において欠かせないものですが、こういった場面でも科学は重要となってくるわけです。

参考文献「入門コロイドと界面の科学」近藤 保、鈴木四朗 著

本日のブログはここまで!! 最後まで読んで頂きありがとうございました!!

プロフィール
ミドリケム

はじめまして。ミドリケムです。
性別:男性
年代:30代半ば
専攻:応用化学、有機化学

大学で応用化学を専攻し、研究室で有機合成をしてきました。
社会人でも転職は2回しましたが、現在でも有機化学をしています。

スキルアップ重視でブログを始めました。もちろん収益化もできたら嬉しいのですが笑

化学の基本的な事から専門的な事まで幅広く取り扱おうと思っています。中には簡単すぎて退屈、難しすぎてわからないと感じる事もあるかと思います。

少しでも化学に興味を持ってくれたらと思っています。疑問やここを解説してほしい、もう少しわかりやすく解説してほしい、などなど些細な事でも構いませんので、何かあればお問い合わせから連絡して下さい♪

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