こんにちは⭐ ミドリケムです。
本日は立体異性体の中でも鏡像異性体について解説していきます。鏡像異性体、キラル、不斉炭素、何となく高校化学で聞いた覚えがあるぐらいでしょうか?
これって、勉強して何の約に立つの? と感じられる方もいらっしゃると思います。実は生物化学においてかなり重要となってきます。今回のブログは鏡像異性体の基本的なことを解説していきます。
鏡像異性体(エナンチオマー)とは?
構造異性体はわかりますか? 分子式では同じでも示性式、構造式でみると構造、官能基が違う分子同士のことです。C4H9Oでもブタノール(CH3CH2CH2CH2OH)、ジエチルエーテル(CH3CH2OCH2CH3)の二つの化合物がありますよね。前者はアルコール、後者はエーテルです。物理的、化学的性質が全く違います。
立体異性体というのは構造は全く同じでも、立体的に視ると違ってくる分子同士のことです。
ではその中でも鏡像異性体(以下エナンチオマー)とはどういう意味でしょうか?答えは簡単、構造は全く同じであるが、鏡の様に左右が反転した化合物同士の事です。
パッとしませんよね? 例えば顔にニキビができてしまい、鏡で確認しましょう。すると、鏡では右側にニキビがありますが、実際は左側にできていますよね?
この様に鏡の様に左右反転した化合物同士をエナンチオマーと呼びます。よく例えられる乳酸で解説すると、以下の図の通りです。

左右の乳酸はどうやっても一致しませんよね? この様に構造式は同じでも立体的にみると構造が鏡の様に違った化合物同士をエナンチオマーと呼びます。
また、エナンチオマーはその鏡像と同一ではないことかたキラル分子、もしくはキラリティーがあると言います。語源はギリシャ語の手(cheir)であり、キラルは形容詞、キラリティーは名詞です。
逆にキラルでは無い分子のことをアキラル分子と言います。
ではキラル分子を見分けるにはどうしたら良いでしょうか? 簡単です。1つの炭素に4つの違う官能基がくっついた炭素を見つければ良いのです。
さっきの乳酸とプロパン酸とを比較してみましょう。乳酸は1つの炭素に-OH, -CH3, -OH, -COOHと全く違う置換基が存在しますが、プロパン酸は2つの-Hが存在しています。つまり、前者はキラル分子、後者はアキラル分子です。

4つの違う置換基を持つと対称面が存在しないため、キラルとなります。人間も完全に左右対称の人はいませんよね?分子も同じです。
キラル分子時の炭素を不斉炭素(中心)と呼びます。また、キラル炭素(中心)、立体炭素(中心)とも言います。色々な呼び方があるのですね💦
キラルな分子の見方
キラルな分子は二つの表記方法があります。それは乳酸で何気に登場した±、さらにはR,S体です。
旋光性(+,-)
光は波であり、進行方向と直角にあらゆる面で振動しています。しかし、この光束は偏光子を通過すると、ある一つの面で振動している光波だけが通過し、他の光波は遮断されます。この通過した光波を平面偏光といいます。
その平面偏光が糖やショウノウのような一部の有機分子の溶液中を通過すると平面偏光が回転します。この性質を持つ物質は光学活性であるといいます。
平面偏光の回転が起こり、検光子と呼ばれる第二の偏光子を通すことで、光がどれだけ回転したか確認することができます。この測定を旋光度測定と呼びます。以下に旋光度測定の概略図を記載します。

光が左回りをした場合、左旋性(-)、右回りをした場合、右旋性(+)であるといわれています。上記の乳酸もーは左旋性、+は右旋性を示す光学活性物質というわけですね。
また、光はD線(589.6nm)の光を用いて測定し、旋光度測定で観測した数値を比旋光度[α]Dといいます。比旋光度は以下の式で計算されます。
単位は[°・cm2/g]ですが、一般的には単位は用いません。ちなみに、(+)-乳酸は[α]D=+3.82、(ー)-乳酸は[α]D=-3.82です。
Cahn-Ingold-Prelog則(R,S)
もう一つの表記方法としてCahn-Ingold-Prelog(カーン・インゴールド・プレローグ)則があります。以下の規則を元に順位をつけ、右回りならR配置、左回りならS配置となります。
規則1 キラル中心に直接結合している四つの原子を見て、それらを原子番号の高い原子を高順位にする。
例:Br>Cl>S>O>C>2H>1H(同位体の場合、質量が大きい方を高順位にする)
規則2 一番始めの原子で順位を決定できない場合、キラル中心から二番目、三番目…とそれ以降の原子で比較する。
例

規則3 多重結合原子は同じ数の単結合原子と等価である。
例

キラル炭素を中心に優先順位が最も低い4番目の置換基を後方に配置し、残りの3つの置換基を前面に配置します。そして、優先順位が右回りなら、R配置、左ならS配置となります。

また、この様なR,S体が50:50で含まれた混合物をラセミ体と呼びます。
まとめ
以上まとめますと、構造が全く同じでも、立体的に視ると鏡の様に左右反転した化合物同士を鏡像異性体、エナンチオマーといいます。見分け方は4つの異なった置換基と結合した炭素が存在することであり、それを不斉炭素、また不斉炭素を持つ分子をキラル分子といいます。
また、キラル分子の見方は旋光度測定により±と分けられたり、置換基によってR,S体と分けられたりします。
ちなみに、先程登場した乳酸は旋光度測定をするとR体はーに、S体は+になります。

以上が鏡像異性体の基本的な解説となります。次回はもう少しメソ体やジアステレオマーといった他の立体異性体について詳しく解説していきます。
参考文献「マクマリー有機化学(上)」J. McMurry 著
本日のブログはここまで!!最後まで読んで頂きありがとうございました!!


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