こんにちは⭐ ミドリケムです。
前回はSN1,SN2反応の解説をしました。今回はE1,E1cB,E2反応の解説をしたいと思います。
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E1,E1cB,E2反応とは?
SN1,SN2反応は主に求核置換反応でしたが、E1,E1cB,E2反応は脱離反応です。脱離基の脱離や求核試薬により前者は置換反応が起こりますが、後者はアルケンが生成されます。反応式で比較すると、以下の通りです。

E1,E1cB,E2反応の求核試薬は主にプロトンを引っこ抜きます。つまり、塩基であるため、ここからは塩基と呼称します。
また、ハロゲン化アルキルからHXが脱離する場合、より多くアルキル基が置換されたアルケンが主生成物となります。これをZaitsev(ザイツェフ)則と言います。あくまで主生成物であるため、もう片方も副生成物として生成されます。

E2反応とは?
SN2反応では脱離基が脱離されるのと同時に求核試薬が基質に攻撃した遷移状態を経由して置換反応が起こる1段階の反応でしたよね。E2反応でも同様です。
E2反応とは塩基によってプロトンが引き抜かれるのと同時に脱離基が脱離し二重結合が生まれる中間体の無い反応です。反応機構は以下の通りです。ちなみにここでのBは塩基(Base)です。

反応速度もSN2反応同様、v=k×[RX]×[塩基](kは反応速度定数)とハロゲン化アルキル、かつ塩基の濃度が律速段階(反応速度を決定づける最も遅い反応)に影響します。
また、E2反応にも構造が重要です。よくNewman投影式が使用されます。Newman投影式とは有機化合物を横から見た時の構造式です。言葉で説明するより、以下の図を見た方が早いですね。

構造式を矢印の方から見た場合、それぞれの置換基がどこに存在するのかわかりやすくなります。この図をNewman投影式と呼びます。横から見た時、HとBrがねじれている方をアンチペリプラナー形、HとBrが重なり合っている方をシンペリプラナー形と呼びます。この時、ねじれている方が構造的にも安定化しているため、アンチペリプラナー形の方が安定化します。
また、アルケンになるためには2つの炭素を4つのsp3混成軌道から3つのsp2混成軌道と1つのp軌道にする必要があります。さらにはπ結合を形成するため、p軌道は同一平面状になる必要があります。
混成軌道の解説は以下のリンクから↓↓

そのため、エネルギー的にも安定化し、かつC-H、C-Br結合は同一平面状に存在するアンチペリプラナー形が最もE2反応に適しているのです。

アルカンは回転可能ですが、アルケンは回転不可能です。そのため、反応前のアンチペリプラナー形を把握しておくのはとても重要です。以下にメソ-1,2-ジブロモ-1,2-ジフェニルエタンのE2反応を示します。Eアルケンを生成しますが、シンペリプラナー形からのZアルケン異性体は生成しません。

E1反応とは?
勘の良い方はもうお気づきだと思いますが、E1反応はSN1反応と同様に脱離基だ脱離した後に、カルボカチオン中間体を生成し、そこから塩基によりプロトンが脱離されてアルケンを生成します。反応機構は以下の通りです。

反応速度もSN1反応同様、v=k×[RX](kは反応速度定数)とハロゲン化アルキルの濃度のみ律速段階に影響します。
しかし、塩基がカルボカチオンへの求核攻撃もします。特に非塩基性求核試薬の場合、プロトンを引きにくくなります。つまりSN1反応も同時に起こるというわけです。2-クロロ-2-メチルプロパンと水との反応は以下の通りです。

E1cB反応とは?
E1cB反応とはE1反応と反応の順番が逆です。つまり、塩基によるプロトンの脱離から始まり、カルボアニオン中間体を経て脱離基が脱離され、アルケンが生成されます。反応機構は以下の通りです。

カルボニル炭素の隣の炭素と結合した水素は塩基により脱離しやすいです。なぜなら、脱離後のカルボアニオンが共鳴安定化するためです。
また、今回脱離基は水酸基を用いましたが、基本的には劣った脱離基が使用されます(水酸化物イオンは基本的には水中以外では不安定)。脱離基が脱離しやすいとE1,E2反応が起きてしまうからです。
まとめ
SN1,SN2,E1,E1cB,E2反応、ごっちゃになっていますよね笑
前回のブログでも言いましたが、明確に反応を見分けることは難しいです。というか、E1反応の所でも解説していますが、同時に起きることだってあります。
基本的には大まかな違いは以下の通りです。
第一級ハロゲン化アルキル(RCH2X)
…主にSN2置換、立体障害を受けた(置換しにくい)強塩基を用いるとE2脱離
第二級ハロゲン化アルキル(R2CHX)
…極性非プロトン性溶媒中、非塩基性求核試薬でSN2置換、強塩基でE2脱離、基質によってはプロトン性溶媒中、弱塩基性求核試薬でSN1置換、E1脱離
第三級ハロゲン化アルキル(R3CX)
…主に塩基を用いてE2脱離、非塩基性溶媒中ではSN1置換とE1脱離
また、全てにおいて、脱離基がカルボニル基から2炭素隔たっていれば(さらにいうと劣った脱離基であれば)E1cB脱離
ややこしいかもしれませんが、主に太文字で記載したことだけでもおさえておいて下さい。もちろん、前回のブログでも解説した通り、基質、溶媒、求核試薬、および脱離基が反応の決め手となります。
参考文献「マクマリー有機化学(上)」J. McMurry 著
本日のブログはここまで!! 最後まで読んで頂きありがとうございます!!

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