有機化学とは?

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こんにちは⭐ ミドリケムです。

本日は有機化学について解説していきます。

このブログを読んでくれている方々の中には化学に携わり、将来化学の中でもどの分野に進もうか悩んでいる方々もいらっしゃるかもしれません。

その中でも私は有機化学の道をオススメしたいと思っています。

理由としては自分が有機化学が好きだからです。合成が楽しくて、研究室も現在の職場も有機合成をしています。

間違っても無機、物理化学を否定しているわけではありません。無機、物理化学にも魅力は必ずあると思います。

私は有機化学が専攻であり、本日のブログでは有機化学の研究の流れについて解説しようかと思います。このブログを読んでくれて少しでも有機化学に興味を持ってくれたらと思っています。

有機、無機、物理化学に関しては以下のブログでも簡単に解説しています。↓↓

有機化学、無機化学、物理(理論)化学とは?
こんにちは⭐ ミドリケムです。本日は有機化学、無機化学、及び物理化学の違いを説明していきます。物理化学は高校化学では理論化学とも呼ばれることもありますが、ここでは物理化学と呼ばせて頂きます。おそらく中学校の理科で燃やすと二酸化炭素と水が発生...

有機化学はとにかく反応、合成が命です。有機化合物は炭素が主骨格でしたね。それをプラモデルの様に合体したり、時には分解したりして自分が思い描いた化合物を作っていきます。

そんな反応ですが、合成精製同定評価と大きく4つのステップを踏んで進めていきます。

有機化学に関して詳しく知りたい方は以下の書籍がオススメです。上中下巻全てそろえるとお値段はかかりますが、私もこの書籍により有機化学の理解が進みましたのでオススメです。

合成とは?

反応として、当たり前ですがまずは合成をします。

基本的には合成は原料溶媒(主に有機溶媒)、必要なら触媒を加えます。また、副生成物として酸(HCl等)が発生するなら塩基(有機アミン、無機塩等)など、反応によって加える物質は様々です。

それらの配合比率、または反応温度、さらには加えるタイミングが違えば全く違う化合物ができたりもします。シビアな所もあるというわけですね。

また、それらに不純物等が混ざっているのもよくありません。そのため、使用する前に原料の分析を行ったり、再結晶、蒸留等行い不純物を取り除いたりする必要があります。これについては次の精製の内容と被ってきますので、操作に関しては次項で説明します。

有機合成で重要なことは安全性の確保(反応が良すぎて発熱し過ぎない)、収率の向上(いかに目的物がたくさんできるか)、高純度、コストの低減、現場の設備で製造できるか等、様々あります。それらを加味して研究する事も化学技術者として重要な事です。

有機合成には大きく3パターンに分かれます。それは極性反応ラジカル反応ペリ環状反応です。

極性反応とは?

ほとんどの反応は極性反応です。極性反応とは電子が豊富な試薬が電子が不足している試薬へ攻撃する反応です。前者の試薬を求核試薬(原子核を好むため)、後者の試薬を求電子試薬(電子を好むため)と呼びます。

また、この反応を求核攻撃と呼びます。簡単に描くと以下の反応機構の通りとなりますが、反応は様々です。

求核試薬から求電子試薬へ矢印を繋げて描く事が一般的ですね。

ラジカル反応とは?

ラジカル反応とは反応性が良い不対電子がきっかけで起こる反応です。ラジカル反応はとある結合から電子を引っこ抜いて新たにラジカルを生成したり、ラジカル同士が結合して一つの結合ができたりします。反応性が良すぎるため、爆発事故が起こる可能性があります。取扱要注意です。

ペリ環状反応とは?

この反応はかなりマイナーです。説明すると、アルケンとジエンのπ電子で新たにσ結合を作る反応です。

どういうこと?と思いますが、まだ、σ、π電子の事も説明できていませんよね💦

一応、有名なDiels-Alder反応を以下に図示しますが、こんな反応もあるんだなぁ…と思っておく程度で大丈夫です。

精製とは?

精製とは混合物から不純物を取り除き、欲しい生成物の純度を上げることです。単離とも呼びます。精製は様々な方法があります。以下の通りです。

抽出…混合物を有機溶媒と水溶液の二層に分離した液体の中に入れ、溶解性の違いにより分離する手法です。水溶液に塩を溶解させることで極性を変えたり、pHを変えたりすることもあります。

蒸留…液体の沸点の違いにより分離することです。混合物を加熱することで気化した後、リービッヒ冷却器で冷やすことで液体に戻して分離します。高沸点の場合、加熱すると目的生成物の構造が変化する可能性があるため、減圧して沸点を下げたりします。減圧しすぎると突沸したり、沸点差が縮まって精製度が下がったりするので注意が必要です。

再結晶…溶媒への溶解性の違いにより分離する方法です。一般的には加熱することで全て溶解させた後、冷却して目的生成物のみを析出させます。他にも溶媒に全て溶解させた後、極性を変えることで目的生成物のみを析出させたりします。

カラムクロマトグラフィー…カラムという細長いガラス器具にシリカゲルやアルミナを敷き詰め、混合物を溶媒と共にそのカラムを通すことで分離する方法です。
クロマトグラフィーとは固定相移動相との親和性の違いを利用して分離する事です。混合物が移動相と共に固定相へ通し、固定相との親和性の違いによりそれぞれの物質の展開度合いの違いを利用して分離します。

再沈殿…高分子の分離方法です。高分子を少量の溶媒(良溶媒)に溶解させて高分子をほぐし、多量の溶媒(貧溶媒)に注ぐことで高分子のみ沈殿させる方法です。
高分子は糸くず状態のため、一度良溶媒でほぐしてあげる必要があります。

他にも様々な手法があります。精製方法によっては収率を下げてしまう可能性があります。不純物のみを取り除くと共に、いかに目的生成物のみを回収できるかが鍵となります。

同定とは?

同定とは精製した後の有機化合物が本当に目的化合物か確認するです。薄層クロマトグラフィー以外は基本的には分析機器を使用します。

薄層クロマトグラグィー(Thin Layer Chromatography, TLC)
…簡単に言うとカラムクロマトグラフィーの小さいものです。ガラスやプラスチック上にシリカを薄く敷き詰めた物に混合物を吸着させ、溶媒により展開していく同定方法です。これは上記の合成の際にも反応が上手くいっているか確認(反応追跡)することにも利用されています。

高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography, HPLC)
…機器を用いて展開溶媒をHPLC専用カラムに通し、試料をその中に通して分離する同定方法です。TLCとは違い、機器を用いるので純度を数値化することができます。これも反応追跡に使用することができます。

核磁気共鳴分光計(Nuclear Magnetic Resonance,NMR)
…試料に強力な磁場をかけて電子のスピンを配向させ、特定のラジオ波をかけてスピンの向きを反転(核磁気共鳴)させることで、電子密度を測定して生成物の構造を特定する手法です。
説明では難しい事を言っていますが、これは有機化合物の同定として定番中の定番です。しかし、装置自体もそうですが、維持費だけでも年間で億単位の値段がつくため、企業によっては設置していない所もあります。

赤外吸収分光計(IR spectroscopy)
…分子はある一定の赤外線を照射すると、吸収し特定の分子振動を起こします。その吸収した波長を観測することによって、どの様な結合、あるいは置換基を持っているか観測する同定方法です。
ちなみに、これも有機化合物の定番の同定方法ですが、無機化合物にも使用する事ができます。

質量分析法(Mass spectroscopy,MS)
…試料にイオン化用電子ビームを照射することによって、分子が規則的に結合を切断します。それぞれのフラグメントの質量を観測することにより、分子の分子量、構造等を同定する手法です。
ちなみに、株式会社島津製作所の田中耕一さんはタンパク質の分子量を測定する質量分析装置を開発し、2002年にノーベル化学賞を受賞されています。

紫外・可視吸収分光法(UV vis spectroscopy)
…分子はある一定の紫外線、可視光を照射すると、吸収し電子をHOMOからLUMOへ励起させます。その吸収した波長を観測することによって、どの様な構造、電子状態をしているのか観測する同定方法です。また、機器によっては近赤外線も吸収可能です。
これも有機化合物だけではなく、無機化合物の分析にも利用されています。

HOMO、LUMO、励起の事に関しては以下のブログで解説しています↓↓

色とは?その1
メリークリスマス⭐ ミドリケムです。クリスマスといえばイルミネーションですね。色鮮やかできれいですよね✨皆さんは色の素、つまり色素がなぜ、色づいているのかご存じですか? 言い換えると、なぜ我々の眼に緑色、青色、赤色等視えるのでしょうか?今回...

X線結晶解析(X-ray diffraction, XRD)
…試料にX線を照射し、回折したX線を検出することにより、試料の構造を詳しく分析する方法です。これはNMR、IRよりも詳しく構造を観測することができますが、結晶のみの測定であり、かつ試料の量もNMR、IRよりも必要となってきます。

以上、簡単に説明しましたが、他にも分析機器があり、生成物によってどの分析機器を用いるか吟味する必要があります。

評価とは?

生成物を同定した後、この化合物がどういった機能、性能を持っているのか、はたまた自分が立てていた仮説との適合性等を検証することです。

もし、自分が思っていた機能、仮説とは違った場合、考察をして新たな化合物の合成のための分子設計をする必要があります。

また、例え自分が思い描いた生成物であっても、コストダウン、収率向上のためにはどうしたら良いのか吟味しなければならない可能性もあります。

以上が有機合成の一連の流れとなります。有機化合物は置換基や結合が違うだけでガラッと性質、機能性が変わってくることがよくあります。自分が設計した分子ができると達成感はありますが、それまではやはり苦労と試行錯誤の連続です。また、できたとしても評価が上手くいくとは限りません。

それでも、トライ&エラーを繰り返すことで確実にスキルは身につきます。実際、自分も大学1年生の頃と比較すると、かなり成長したと実感します。それでも化学技術者としてはまだまだ未熟物ですが…

有機合成の流れを説明した所で、次回から有機化学をもう少し掘り下げて解説していきます。

本日のブログはここまで!! 最後まで読んで頂きありがとうございました!!

プロフィール
ミドリケム

はじめまして。ミドリケムです。
性別:男性
年代:30代半ば
専攻:応用化学、有機化学

大学で応用化学を専攻し、研究室で有機合成をしてきました。
社会人でも転職は2回しましたが、現在でも有機化学をしています。

スキルアップ重視でブログを始めました。もちろん収益化もできたら嬉しいのですが笑

化学の基本的な事から専門的な事まで幅広く取り扱おうと思っています。中には簡単すぎて退屈、難しすぎてわからないと感じる事もあるかと思います。

少しでも化学に興味を持ってくれたらと思っています。疑問やここを解説してほしい、もう少しわかりやすく解説してほしい、などなど些細な事でも構いませんので、何かあればお問い合わせから連絡して下さい♪

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