界面化学とは? 水と油は混ざる?界面活性剤をわかりやすく解説

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こんにちは⭐ ミドリケムです。

今回は表面張力、表面自由エネルギー、および界面活性剤について解説していきます。

どれも聞いたことはあるけど何だったっけ?という人もいらっしゃるかもしれません。

また、水と油は混じらないのに、なぜ、洗剤で油汚れが落ちるのか?牛乳は水溶液でかつ脂質も多く含んでいるのになぜコロイド溶液として混ざっているのか?という疑問が今回の記事で理解が深まります。

本日の記事で以下のことを解説します。
・表面張力
・表面自由エネルギー
・界面活性剤
・臨界ミセル濃度(CMC)

表面張力とは?

まずは、表面張力の解説です。表面張力とは液体がその表面積を小さくしようと働く表面分子の力のことです。

水滴は球状であったり、コップに溢れそうになるくらい水を入れても中々こぼれなかったり、これは全て表面張力が影響しています。

ではなぜ、表面積を小さくする力が働いているのか?それは以下の図で説明します。

図1.内部分子、表面分子の分子間相互作用の模式図

水は基本的には隣接しあう分子同士と水素結合により弱い相互作用をもっています。もちろん、他の液体分子も同様になにかしらの相互作用があります。

上図からわかる通り、内部分子は全面的から相互作用が働くため、全体的に相殺され相互作用は0となります。

しかし、表面分子は相殺されません。表面分子には物質内部への引力が残っており、それが作用します。これが表面張力の正体です。

表面分子のみ引力が作用し、その結果、液体分子は表面積をできるだけ、小さくしようとします。そのため、水滴は球状であったり、コップに溢れそうになるくらい水を入れても中々こぼれないのです。

ちなみに、表面張力において議論できるのは液体のみです。固体分子は運動しない(正式には運動しているが、ほとんど微力)、気体は運動し過ぎて表面が存在しないためです。

表面張力の単位は[N/m]です。つまり、表面分子1mを引っ張るのに必要な力[N]のことです。これは後で重要になってくるため、覚えておいて下さい。

表面自由エネルギーとは?

結論からいうと、表面自由エネルギーとは表面分子と内部分子とのエネルギー差、もしくは表面分子を単位面積[1m2]を広げるのに必要なエネルギー[J]のことです。そのため、単位は[J/m2]です。これも後で重要になってくるため、覚えておいて下さい。

表面自由エネルギーについて議論できるのは固体と液体のみです。気体は表面張力と同様、運動し過ぎて表面が存在しないためです。

例えると、固体表面に液体を落としたとします。固体と液体の表面自由エネルギーを比較すると、前者の方が高い場合、エネルギーを低下させるために液体を広げる、つまり、濡れやすくなります。逆に後者が高いと、濡れにくくなります。

表面張力と表面自由エネルギーの違いとは?

表面張力と表面自由エネルギーの違いを液体分子で図示すると、以下の通りです。

図2.表面張力、表面自由エネルギーの違い

ここまで説明しておいて、ネタばらしになりますが、液体において、表面張力と表面自由エネルギーは同じです(上述の通り、表面張力を議論できるのは液体のみのため)。

ここで、先程覚えておいてほしいといった単位に注目です。単位は以下の様に変形できます。

Nm=Nmmm=Jm2\frac{N}{m}=\frac{N・m}{m・m}=\frac{J}{m^2}

表面張力の単位の分母分子にmを掛けます。分子は仕事のため、Jに変換し、分母は面積m2になります。すると、表面自由エネルギーの単位となります。

よって、力で議論する場合は表面張力、エネルギーで議論する場合は表面自由エネルギーと思って下さい。

くどい様ですが、液体分子の場合のみ表面張力=表面自由エネルギーです。表面張力は液体のみ、表面自由エネルギーは液体、固体の時に議論するためです。

界面活性剤とは?

界面活性剤の役割

ここで、なぜ水と油は混ざらないのか、という疑問について解説していきます。水と油はいきおいよく混ぜると、いったん白く濁ります。これは水が多いと仮定すると、水が分散媒、油が分散質といったエマルション(液体ー液体コロイド)となります。

この様に水と油が混ざりあう状態を乳化、白く濁る現象を乳光といいます。乳化は初めて登場した用語ですが、乳光、エマルションといった用語は以下の記事で解説しています。

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しかし、時間が経つと、元の二層に分離します。これはエマルション、つまりコロイド分散系にしたことにより、界面積が増大したためです。界面積が増大すると、表面張力=表面自由エネルギーが増大します(正しくいうと液相ー液相界面のため表面とは言わず、界面張力、界面自由エネルギーが正しい表記ですが、ややこしいため、あえてこの表記とします)。そのため、エネルギーが安定を求めて元の二層に戻ってしまうというわけです。

ではこの二層をエマルションにできないのか? ここで登場するのが界面活性剤です。

界面活性剤とは界面の仲介役となり、表面自由エネルギーを低下してくれる役割があります。

図3.界面活性剤を用いたエマルションの安定性の模式図

上図で説明すると、水と油を振るとエマルションができます。ややこしいかもしれませんが、乳化は現象の名称、エマルション(液体ー液体コロイド)は状態の名称です。つまり、乳化した結果、エマルションが形成されたということです。

ここで、界面活性剤が無いと表面自由エネルギーを低下しようと元の状態に戻ります。しかし、界面活性剤が存在すると、それが表面自由エネルギーを低下してくれるため、エマルションとして維持できます。

なぜ、界面活性剤があると表面自由エネルギーが低下するのか? それは上図にもある様に、界面活性剤は親水基と疎水基(親油基)が存在するため、水にも油にもなじむからです。

なぜ洗剤で油汚れが落ちる?

そして、油を中心に界面活性剤が相互作用して集まることを会合といいます。人が集まることも会合といいますよね? 会議室や会場(油)に人(界面活性剤)が集まる様なことです。そして、会合してできた油と界面活性剤の集まり(コロイド粒子)のことをミセルいいます。これもややこしいですが、会合は現象の名称、ミセルは状態の名称です。

界面活性剤は主にセッケン、洗剤等に含まれています。これは化学だけではなく家庭科の授業でも習ったかもしれませんが、洗濯、食器用洗剤は界面活性剤を利用して油汚れを落としています。

図4.界面活性剤を用いた油汚れが落ちる模式図

ちなみに、今まで水が分散媒、油が分散質、O/W(Oil in Water)を解説してきましたが、逆もあります。つまり、W/O(Water in Oil)もあるということです。例えるとドライクリーニングです。ドライという言葉がある様に、水を使わず有機溶剤、つまり油を用いて油汚れを落とします。しかし、有機溶剤では親水性の汚れは落ちません。そのため、界面活性剤を用いて親水性汚れを落としています。O/W、W/Oの形状を以下に図示しますが、要は界面活性剤の配向の向きが逆になっているだけです。

図5.O/W、W/Oの模式図

牛乳はなぜ沈殿しない?

冒頭で話した疑問の一つ、洗剤で油汚れが落ちる理由がおわかりになりましたか? もう一つの疑問、なぜ牛乳は水と脂質がエマルションとして存在するのかはお分かりでしょうか? 牛乳にはタンパク質が豊富であり、それが界面活性剤の役割をしているからエマルションとして存在しているのです。

洗剤はなぜ泡立つ?

ここで、洗剤ってそもそもなんで泡立つのかおわかりでしょうか?それも界面活性剤が影響してきます。

水に界面活性剤が下図の様に親水基が中、疎水基が外向きに規則正しく配列しています。そのため、水の薄い層がたくさん形成します。それが泡の正体です。シャボン玉も同じ原理です。

図6.洗剤が泡立つ仕組みの模式図

界面活性剤の種類

最後に界面活性剤の種類について解説します。界面活性剤の疎水基は基本的にはアルキル基です。どちらかというと、親水基で分類されます。主に4つの界面活性剤があります。

・アニオン性界面活性剤
  …親水基が負電荷を帯びた界面活性剤
   例:硫酸イオン-SO3

・カチオン性界面活性剤
  …親水基が正電荷を帯びた界面活性剤
   例:第四級アンモニウムイオン-N+

・両性界面活性剤
  …親水基が正電荷、負電荷共に存在した界面活性剤
   例:第四級アンモニウムイオン+カルボキシイオン等

・非イオン性界面活性剤
  …親水基が電荷を帯びていない界面活性剤
   例:エーテル+アルコール等

臨界ミセル濃度(CMC)とは?

では溶液に界面活性剤を少しずつ添加すると、界面活性剤はどのように配向するでしょうか?

模式図を以下に示しました。始めは界面に配向し、単分子層を形成します。単分子層形成後は会合してミセルを形成していきます。この時、ミセルが急激に増加する濃度域があります。この濃度域を臨界ミセル濃度(CMC,Critical Micelle Concentration)といいます。ちなみに濃度です。中和みたいに一点ではないですよ。

図7.界面活性剤が配向する模式図

臨界ミセル濃度前後においては物理的、化学的に様々な変化があります。例を挙げると、洗浄力、電気伝導度、表面(界面)張力です。

ここで、我々の生活において重要なのが洗浄力です。洗浄力は臨界ミセル濃度前では劇的に増加しますが(一気にミセル形成するため)、臨界ミセル濃度後はほとんど変わりません(ミセルがほとんど形成しないため)。そのため、洗剤をたくさん加えても洗浄力がほとんど変わらないのです。使用量は各洗剤に記載された容量を守りましょう。

また、臨界ミセル濃度前は界面活性剤は界面に配向するため、表面(界面)張力は低下します。しかし、臨界ミセル濃度域に達すると界面に界面活性剤の単分子層がほぼ形成し終わるため、臨界ミセル濃度以降は表面(界面)張力はほとんど変わりません。

まとめ

表面張力…液体がその表面積を小さくしようと働く表面分子の力[N/m](液体)
表面自由エネルギー…表面分子と内部分子とのエネルギー差、もしくは表面分子を単位面積を広げるのに必要なエネルギー[J/m2](液体、固体)
・液体において、表面張力=表面自由エネルギー
界面活性剤…表面自由エネルギーを低下(会合しミセル形成→安定したエマルションの形成)
臨界ミセル濃度(CMC)…劇的にミセルが形成する濃度域

以上が表面張力、表面自由エネルギー、および界面活性剤の解説でした。それと同時に牛乳や洗剤、さらには洗剤が泡立つ原理など、身近な日常生活の原理についても解説しました。

このことで化学に少しでも興味を持ってくれたら化学技術者として冥利に尽きます。

参考文献「入門コロイドと界面の科学」近藤 保、鈴木四朗 著

本日のブログはここまで!! 最後まで読んで頂きありがとうございました!!

プロフィール
ミドリケム

はじめまして。ミドリケムです。
性別:男性
年代:30代半ば
専攻:応用化学、有機化学

大学で応用化学を専攻し、研究室で有機合成をしてきました。
社会人でも転職は2回しましたが、現在でも有機化学をしています。

スキルアップ重視でブログを始めました。もちろん収益化もできたら嬉しいのですが笑

化学の基本的な事から専門的な事まで幅広く取り扱おうと思っています。中には簡単すぎて退屈、難しすぎてわからないと感じる事もあるかと思います。

少しでも化学に興味を持ってくれたらと思っています。疑問やここを解説してほしい、もう少しわかりやすく解説してほしい、などなど些細な事でも構いませんので、何かあればお問い合わせから連絡して下さい♪

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